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東京新聞/中日新聞

2006.07.25 小さな葬儀 呼ばない人に配慮を



 身内だけでひっそり行う家族葬(密葬)を希望する人が増えている。「なるべく静かに送りたい」「できるだけ安く済ませたい」など、送る人の思いや事情はさまざまだが、故人と付き合いのあった人たちへの配慮も欠かせない。小さな葬儀をする際の注意点は−。 (遠藤健司)

 「葬儀は派手なことをせず、あなたたちだけで」。重い病床の母親にそう言われた尚子さん(48)=仮名=は弟と相談し、万が一の際は母の希望通り、姉弟の二家族だけで送ることを決めた。家族葬について調べ、葬儀社とも相談し十分な準備をしてきたはずだった。

 実際の母の葬儀は無宗教で祭壇は設けず、棺の周りに花を飾り、納得いくまで母との別れの時間をもてた。費用も約七十万円に収まった。

 ところが、葬儀後しばらくして母の死を知った近所の人や友人が弔問に訪れた。一週間ほど後を絶たず、尚子さんは外出すらできない日が続いた。香典返しなどの用意もしていなかったため急きょ、葬儀会社に連絡してお茶のセットを頼み、約十万円を出費した。さらに親族から異議をとなえられ結局、田舎で再度、葬儀を行うことになり、合計で百六十万円がかかってしまった。

 「自分らしい葬儀を」「親しい人だけに送ってほしい」−。そんな思いとともに高齢社会の現実として会葬者が減っている。当然ながら、家族葬や火葬のみの直葬へのニーズは高まるばかりだ。

 「しかし、まだまだ特別な葬儀。注意しないとトラブルのもとになりかねない」。そう忠告するのは、お葬式相談機関「リリーフ」(東京都)代表の市川愛さんだ。

 尚子さんのケースは、家族葬などでみられるトラブルの典型。葬儀当日の斎場や火葬場へ、入りきれないほどの弔問客が訪れてしまうトラブルも少なくないという。

 「家族は満足でしょうが、知らされなかったり呼ばれなかった親類や知人にも『きちんとお別れをしたい』と思っている人はいる。そうした人への配慮が、まず家族葬などでは欠かせない」と市川さん。

 家族葬などというと、祭壇がなく安くて簡単といったイメージしかない人が多い。しかし、市川さんは「祭壇はあってもいいし、直葬でも火葬場にお寺さんを呼んで読経してもらってもいい。一般の葬儀と違うのは、形でなく規模が小さいということ」と説明する。

 会葬者を制限するために、会場や祭壇を小さくし、香典返しや会葬者に出す料理を少なくして出費を抑えることはできる。ただ、事前に規模を小さくする準備を怠らないことが肝心だ。

■説明あいまいな業者は外すべき

 見送るときはやはり葬儀社が頼りだが、小さな葬儀を好まない業者もまだ多い。いざ依頼したら、一般の葬儀と金額が変わらなかったり、対応が悪かったといったケースもあるという。

 葬儀社を選ぶ際は、病院などから搬送してもらった業者にお任せするのでなく、「これ以上かからないという費用とその内容についてきちんと説明を受けること。説明をあいまいにする業者は外すべきです」。

 葬儀社が言う葬儀費用は、祭壇一式・お棺・人件費など葬儀社が直接用意するものが中心。飲食接待費・返礼品・車両費・供花(くげ)などの周辺品が含まれていないことがあり、市川さんは「家族葬でもこの点をしっかり確認しないと、予想以上の出費になることもある」と注意を促す。

 後は、どういう葬儀をしたいのか、誰を呼ぶのか、はっきりさせておきたい。事前に葬儀社を探しておけばなおいい。また、呼ばない人には、後日落ち着いてからしのぶ会などを企画するのも方法だ。


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